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午前3時の熱帯夜

蒸し暑い夜

午前3時

何故、キミをお姫様抱っこしながら走っている?

後ろからは次々と爆弾が爆発していく。
蒸し暑い上に熱風まで。

キミはボクの胸に顔を埋めたまま動かない。

助けられた安堵もあるだろうが、まだ助かったと言える状況ではない。
「行くよ」
彼女に聞こえるように呟くと、彼女は黙って一回コクリと頷いた。

奥歯を噛んだ。



焼けるように熱い夜

午前3時

まだ夜明け前

ようやく危険から回避できた。
草原に2人、横になっていた。

「ありがとう」
彼女の声を久しぶりに聞いた。
「怪我はない?何もされなかった?」
「大丈夫よ」

彼女は肩で息をしているボクの手を握る。

手の中に何かを入れた。

開いてみるとUSBメモリ

「これは?」
「データ移してきたわ。その中に他の基地の情報が隠されているかも知れないから」

首を右に向けると、今自分達が脱出してきた基地が黒煙を上げている。

首を左に向け、再び視線を彼女に戻す。

「どうしてこんな危険な事を?」

「タダで捕まる訳ないでしょ?私を誰だと思っているの?」

思わずため息が漏れる。
「恐れ入りました」

仰向けになり、空を見上げる。
真っ暗な闇の中にポツポツと星が出ている。

草原に大の字になっているジョーが深呼吸する。
「草…気持ちいいね」
暑いから気休めだけど。

「身体ベタベタ、早くシャワー浴びたいわ」

「一緒に浴びようか?」

「…ばか」

黒煙が近くまで迫ってきた。
消防車の音も聞こえてきた。

「そろそろここにいると見つかっちゃうかな?」

「迎えは…まだなの?」

「そろそろ来るはずだけど…なんか眠くなってきちゃった」
大きな欠伸をひとつ。

「そうね、今は真夜中よ、良い子は寝る時間だわ」
「悪い子だから起きてるんだぜ」
ジョーはくるくるっとフランソワーズに接近し、キスをする。

「熱いわ」
「ムードなし‼︎」

それから30分後、
迎えに来たジェットが目の前の光景に呆れ返る。

「何してるんだよ」


真夜中の熱帯夜

草原に寝転んで幸せそうに寝息を立てる2人の姿だった。

 

 

 

 

 

​2015.7.15



 

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