
アナバ another side
今日は研究所とギルモア博士の所が合同で花見をする。
研究所のメンバーなんてどうでもいい、ギルモア博士の所も一緒という事は…
「おぃフィリップ!」
所長に呼ばれた。
「飯店の方で弁当作りの人手が足りないそうだ。手伝いに行ってくれ」
「はぁ、仕事は?」
「今日は花見だぞ!仕事はいつでも出来るが、桜が咲いている期間は短いんだ!弁当作りが優先だろう?」
とっても理不尽な事を言っているようだが…。
何故日本人は桜が咲くとこう浮かれるのだろう。
フランス人のフィリップには理解が出来なかった。
でも、でも、フランソワーズさんの手作り弁当があれば…
桜だろうが会社の飲み会だろうが何だって乗り越えられる〜!
飯店に行くとダイジンが待ち構えていたかのように仕事を言い付ける。
「容赦ないなぁ」
これなら仕事していた方がマシだよ…。
ブツブツ文句を言っていると、目の前に救いの神…いや、女神が。
「あら、フィリップさん、手伝いに来てくれたのね」
ふっフランソワーズさんっ!
今日もいつも通りにお綺麗ですっ!
お待ちしてました!
「手伝いがそんなに楽しいの?」
きっとニヤけていたのだろう。
「いやいや、こき使われて大変でしたよ」
でも顔は笑っている。
フランソワーズさんが側にいるのならどんなにこき使われても一生懸命な所をアピール出来るぞ!
フィリップは張り切って卵を割る。
「フィリップさん…卵割りすぎ…」
「あ」
30人位の弁当が出来上がる。
「じゃあこれを会場まで運びましょう。フィリップさん、運転お願い出来るかしら?」
よろこんでっ!
「いいですよ」
心の中を見透かされないよう、平静を装い返事をするが、心の中はカーニバルだ。
車窓に流れる桜並木。
満開だからあちこちの桜の木の下では宴会をしている。
助手席にはフランソワーズさん。
あぁ夢のようだ。
ジャパニーズハナミありがとう!
日本人、桜が好きでありがとう!
心の中でバンザイをする。
「ここよ」
楽しい時間はアッという間とはよく言ったもので、フランソワーズさんとの楽しいドライブもおしまいだ。
場所を取っているのはあの男。
は?
女の子達に囲まれている?
何しているんだ?
あ、こっち見た。
走って来た。
え?
いきなりフランソワーズさんに抱きついた…。
ギャラリーの女の子達も固まっている
何が起こったのだ?
場所取りトラブルに巻き込まれたとひどく疲れ果てていたジョーさんを、フランソワーズさんは優しくなだめていた。
みんなが集まり宴会が始まった。
フィリップはフランソワーズの前に腰を下ろす。
料理を挟み距離があるけれど、満開の桜の木と彼女を同時に見ることが出来る特等席だった。
ただその膝に茶色い頭があるのだけはどうしても許せなかったが。
場所取りだけで疲れるか?
人前で甘えるなよ!
くぅぅ〜
羨ましいじゃないか!
自分がどんなに努力してフランソワーズさんと一緒の時間を過ごせても、こいつが簡単に奪っていく。
「 フィリップさん、私が作ったお弁当なんだけれど、よかったら食べて」
「ありがとうございます!いただきます」
フィリップはフランソワーズの手作り弁当を食べながら、ジョーに対して闘志を燃やした。
〜おしまい〜
2016.4.13