top of page

紅葉狩り

リビングで熱心にテレビを見ているフランソワーズにジョーが声をかける。

 

 

「見事な紅葉だね、そこなら日帰りで行ける距離だから、今度の休みに行く?」

 

フランソワーズは返事なく神妙な顔をしている。

 

「ねぇ、ジョー『紅葉狩り』って何?」

 

「え?」

 

「何をするの?」

 

「何って…紅葉を見るだけだけど…」

 

「でも『狩り』って言うんだから何か猟のような事をするの?」

 

真剣な顔で聞くフランソワーズにジョーは吹き出しそうになる。

 

「そうだね、魔女狩りみたいなものだな」

 

「え?そんな危険な事をテレビでオススメしているの?」

 

 

「だめだぁ!」

ジョーが腹を抱えて笑う。

 

 

「ちょっと!真面目に聞いているのに!」

 

「ごめんごめん、もともと何かを取りに山に入ることを『狩り』と言って、狩猟をしない平安貴族が、自然を愛でる言葉に『狩り』を使ったらしいんだ。だからただ紅葉を愛でるだけの言葉なんだよ」

 

「そうなの?」

 

「そうです…じゃあ僕はこれからキミを『狩る』事にするよ」

 

ジョーがソファーにいるフランソワーズに抱きつこうとしたが、フランソワーズはジョーの動きを交わす。

 

 

「もう!どうしてそうなるのかしら?」

 

 

 

ジョーはフランソワーズがいなくなったソファーに寝そべる。

「魔女狩りと同じだと信じさせておけばよかったなぁ」

 

「何か言った?」

 

「いえ、何も」

 

後ろを向いたフランソワーズの背中にジョーは舌を出した。

2016.11.14

bottom of page