
日本的
バレエ教室を終え、帰ろうとしたフランソワーズを小松が呼び止めた。
「桜餅があるんだけど、お茶しない?」
「桜餅?」
日本に来て数年になるが、まだ知らない物の方が多い。
桜はもうすぐ満開になり、ダイジンがまず花見弁当で稼ぎ出して、コズミ博士の研究所員達が花見と騒ぎ出す。
今年はバレエ教室でも花見をする事になっている。
花見…と言っても花は口実で、美味しい食べ物やお酒、みんなが集まる場所というイメージがある。
本当の花見はジョーと行く夜桜かもしれない。
本当に桜しか見ない。
でも嬉しそうな彼に、日本人は桜が好きなのね、といつも思う。
で
桜餅?
桜の花が入っているお餅なのかしら?
小松の部屋に行くと、お茶の隣に何かがある。
皿に乗っているピンクの物体に巻いてあるのは茶色い葉
「どうぞ、隣町の老舗和菓子屋の桜餅よ」
隣町の老舗和菓子屋といえば、コズミ博士のお気に入りで、何度かお使いに行っていたけれど…
こんな和菓子なかったわ。
それより、この…
茶色い葉はどうしたら…
とりあえずそっと葉を剥がし始めたら、小松が笑い出す。
「それ、食べれるのよ!桜の葉の塩漬けなの」
「桜の葉の…塩漬け?」
日本人は桜が好きすぎて葉まで食べるのね…。
小松は桜餅もそのままぱくりと食べた。
フランソワーズはさすがに葉を食べる勇気がなく、綺麗に剥がして外してから口に入れた。
その様子を怪訝そうに見ていた小松。
フランソワーズは、バレエ教室を出ると、隣町の老舗和菓子屋で先ほどと同じ桜餅を購入する。
家に戻るとジョーがソファーに同化していた。
「お土産買ってきたわよ!」
フランソワーズが老舗和菓子屋の袋をソファーに同化していたジョーの目線に持ってくる。
「え?何?桜餅?」
何も言っていないのに、この季節は日本人は桜餅しかないのかしら…
「こしあん?つぶあん?」
え?あんにも種類があるの?
「美味しそう〜、いただきます!」
「あ、お皿に移し…」
そのままぱくり
「…平気なの?」
「ん?にゃにが?」
「葉っぱ」
「あぁ、塩漬けされているから美味しいんだよ、甘みと微妙な塩気が絶妙!ま、まさか葉っぱ取って食べてたとか…」
「ええ」
「もったいない!桜餅を存分に楽しめていないじゃない!」
桜も騒ぐけれど、桜餅にも騒ぐのね…
と、日本人の妙なこだわりに唸るフランソワーズであった。
2017.4.7