
前倒しクリスマス
「綺麗ね」
街はイルミネーションに溢れていた。
「クリスマスはこの辺もカップルで賑わうんでしょうね」
「今でもすごいけど」
クリスマスはもうすぐ
天気の良い週末には華やかなイルミネーションの前には沢山の人々。
「クリスマスにこの風景が見れないのは残念だわ」
フランソワーズはキラキラしている街路樹を見上げる。
「そうだね、君はフランス、僕はアメリカだ」
ジョーもフランソワーズと同じく見上げる。
「何事もない」日々は2人を別れさせる
お互い「自分の生活」に戻る事は一緒にいられない事を意味する。
皮肉だがそれが事実。
お互いずっと一緒にいたいとも言えず。
自分が我慢すれば…と思っても、それを選択する事を相手は喜ばない。
わかっている
わかってはいるけど…
「来年はクリスマスを一緒に過ごせるかしら?」
「どうだろうね、君の方が忙しそうだ」
フランソワーズはクリスマス公演
ジョーは来シーズンの準備
「フランスで会えたらいいのにね」
「あなたがヨーロッパを拠点にしたら会えるかも」
「そうだね、来季以降考えてみるよ」
「『何事もない』を感謝しなければいけないんだよね」
ジョーがフランソワーズを見て笑う。
「そうね」
「今日はさ、」
フランソワーズはジョーを見上げる
「今日は一緒にいれるんだから、クリスマスの前倒しって事で」
「サンタさんが驚いちゃうわよ、まだでしょ?って」
フランソワーズの言葉にジョーは声をあげて笑う
「もう、そんな大笑いしなくても!!」
「ごめんごめん、子供みたいな事言うんだもん」
「いいじゃない!!」
フランソワーズが膨れる。
その表情を満足そうに眺めるジョー
またしばらく会えないから、今日は沢山の表情を記憶に残したかった。
「では、早速クリスマス前倒しのディナーへ」
「前倒しディナーって嫌な名前」
「でもクリスマスにはきっと予約取るの大変だろうけれど、今日は大丈夫だったし、あながち悪い事ばかりではなさそうだ」
満足そうなジョー
「もう、ムードないわ」
「では」
ジョーがフランソワースに手を差し出す
「前倒しクリスマスの始まりね」
フランソワーズがジョーの手を握る。
2人は手を繋ぎ歩き出す。
2017.12.25