
first present
リビングを掃除していたフランソワーズ。
テーブルの上に本が上がっている。
「誰の本かしら?置きっぱなしで」
本を持ち上げた時、パラッと何かが落ちた。
「あら…これは…。」
もう、随分前の話になる。
まだブラックゴーストと戦っていた頃…。
ドルフィン号で生活していた。
アルベルトが作戦会議だと、皆を集めたその時だった。
ジョーが正方形の紙を折りながら、アルベルトの話を聞いていた。
何をしているのだろうと、隣で座っていたフランソワーズは気になった。
同じ所を何度も折っているような気がしていたが、あっという間に綺麗な鳥のような物が出来上がっていた。
その場で声を上げたかったが、会議中。
アルベルトに怒られるのはわかっていた。
話が終わり、席を立とうとしたジョーに、すかさず話しかける。
「凄いわ、これは何?」
ジョーは黙ってフランソワーズを見ていたが、何を指しているのかわかったようで「鶴」とぶっきらぼうに答える。
「ツル?日本の鳥ね。素敵!!作り方教えて!!」
「ガイジンって変なものに興味持つよな…」半ば呆れながらも、ジョーはフランソワーズに鶴の折り方を教えた。
「繊細で綺麗だわ。只の紙からこんなに素敵な物が出来るなんて」
フランソワーズは何度も練習して、鶴が折れるようになった。
折り紙などなかったから、データを出力した紙など、不要になった物を正方形にして折っていた。
とても綺麗に出来た。
ジョーに見せに行こうと鶴を持って部屋を出た。
…あ、今日はクリスマスだわ。
毎日船の中で、いつ敵が攻めてくるかわからない日々。
クリスマスなど言っていられなかった。
でも…これくらいなら…いいわよね。
ジョーの部屋に向かう。
本を読んでいた。
「ちょっと…いいかしら?」
ジョーが部屋に入れてくれた。
「あの…鶴が上手に折れたから…」
手のひらの折り鶴を見せる。
「へぇ…上手に折れたね」
「あの…これ…クリスマスだから…あなたにあげるわ」
ジョーがきょとーんとしているのがわかる。
でもどうしてもプレゼントしたかった。
クリスマスに理由を付けて。
「ありがとう」
普段はそっけない彼からの以外な言葉。
「大切にするよ」
フランソワーズはあの頃を思い出す。
本に挟まっていたのはあの時の鶴。
栞変わりというのは少々不服だが…。
彼は大切に取っていてくれた。
リビングのドアが開く。
「あ、ごめん、本置きっぱなしだったね」
フランソワーズは微笑むと
「これ、大切に取っていてくれたのね」
と、自分が始めて折った鶴を手に乗せる。
栞変わりに使われていたから、何となく薄っぺらいが、でも鶴だ。
「始めてキミから貰ったプレゼントだからね」
ジョーが笑う。
「ねぇ、今年のクリスマスプレゼントは何がいい?」
「何にも要らない、キミの愛がいい」
と、言いながら抱き寄せる。
「一番贅沢なプレゼントね」
フランソワーズは笑いながらジョーにキスをする。
「ホント贅沢だ」
ジョーも笑いながらキスに応えた。
~おしまい~
2015.12.24