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night blossom

 

1

 

 

 

 

 

 

「夜桜見物ってもっと静かなイメージがあったわ」

桜並木がライトアップされていて、木の下には花見を楽しむ人達が、レジャーシートで場所を取り、アルコールも入り大声で笑う。

桜のトンネルを通り、見上げていると、人にぶつかる。

「今が満開だから混雑しているんだね」

突然立ち止まり写真を撮る人にぶつかりそうになるのを寸前で回避する。

「桜より人を見に来たみたいだね」

ジョーは申し訳なさそうにフランソワーズに言う。

フランソワーズも苦笑いする。




セッカクサソッタノニコレジャアナ

ア、イマノカオ、オモシロクナイトオモワレタ?

キラワレチャウカナ?

モウサソッテクレナイカナ?





「え?何か言った?」

「ううん、ジョーこそ何か言った?」

「いいや」

確かに、どこかから声が…


2人は人混みに紛れながら、声が聞こえた方向に歩き出す。

急に人混みから解放されたそこには、円形の人工池
半円に桜が植えてあり、ライトアップされた桜が水面に反対に写っている。


「綺麗…」

「何故ここだけ人がいないんだ?」


こんなに綺麗な夜桜なのに…


人混みの方を見ると、誰もがここの存在に気づいていないようで…


ジョーか水面を覗き込む。

反対の自分が笑った。

「え?」

「ジョー⁈」


その瞬間2人は


消えた

 

2

「ここは…どこ?」

フランソワーズは辺りを見回す。

反対の桜

ゆらゆらした景色

ここは…水の中?

でも、服は濡れていない。

薄暗い空間を歩く。


そこに人を見つけ安堵する。


「ジョー!無事だったのね」

確かにジョーだ。
顔も身なりも先ほどまで一緒にいた彼に間違いない…

でもその表情は先ほどの彼とは違う。


「キミか何を考えているのかわからないよ!」

「え?何?」

いきなり吐き捨てるように言われ、フランソワーズの身体は凍りついた。

「キミの感情が読み取れない、いつも解ったような顔をして、いつもいいわ、しか言わなくて」

「嫌なら嫌だと断ってくれよ!」

「ちょっと、どうしたの?」

いきなり怒りだしたジョーに、どうしたらいいのかわからず戸惑うフランソワーズ。

「キミの本心がわからないんだよ!わからないからどうしたらいいか不安になる。」


もしかしたら…

私と同じように彼も…
相手の気持ちがわからなくてもやもやしていたんだ。

私は…


そう思った瞬間

消えていた辺りの音が一斉に流れ込んできた。

気がつくと、元の混雑した桜並木にいた。

 

3

「え?な…なにがあったんだ?」

ジョーは辺りを見回す。

反対の桜

ゆらゆらした景色

ここは…水の中?

でも、服は濡れていない。

薄暗い空間を歩く。


そこに人を見つけ安堵する。


「フランソワーズ!無事だったか!」

確かにフランソワーズだ。
顔も身なりも先ほどまで一緒にいた彼女に間違いない…

でもその表情は先ほどの彼女とは違う。


「あなたが何を考えているのかわからないの!」

「え?何?」

いきなり吐き捨てるように言われジョーの身体は凍りついた。

「あなたの感情が読み取れない、いつも解ったような顔をして、いつもいいんじゃない?しか言わなくて」

「嫌なら嫌と言ってよ!」

「ちょっと、どうしたんだ?」

いきなり怒りだしたフランソワーズに、どうしたらいいのかわからず戸惑うジョー。

「あなたの本心がわからないの!わからないからどうしたらいいか不安になるのよ!」


もしかしたら…

僕と同じように彼女も…
相手の気持ちがわからなくてもやもやしていたんだ。

僕は…


そう思った瞬間

消えていた辺りの音が一斉に流れ込んできた。

気がつくと、元の混雑した桜並木にいた。

 

4

桜並木の前で立ち止まっていた2人

花見客にぶつかり、我に返る。


「なに…今の…」

「キミも…見たの?」

ジョーが恐る恐る聞くと、フランソワーズはこくりと頷く。

「さっきの池は…」

2人は辺りを見回すが、そんな池は何処にもなかった。


「私達が見たのって…」

2人は顔を見合わせる。


「しかし…何だね」
ジョーが頭を搔く

「同じ事…考えてたんだ…」

照れくさそうに話すジョーに、フランソワーズは赤くなり俯く。

「嫌な時は嫌って言うよ…キミと一緒にいる時に嫌だなんて感情はないよ」

フランソワーズは顔を上げる。

そこにはジョーの笑顔。

「私も同じよ、あなたと一緒ならこんな混雑も楽しめるわ」

2人は人混みに流されないように、手を握り歩き出した。


〜おしまい〜

2017.4.17〜4.20

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