
Rainy Sketch
毎日続く雨
ジメジメした空気
傘から落ちる雨
肩を濡らしている
浮かない気持ちのまま電車に乗る
つり革に掴まらず開閉ドア前に収まる。
徐々にスピードを上げる電車に雨が流れるように窓ガラスに張り付く
座席に座っている人はみな、液晶画面に釘付けになっている。
世界が見れる液晶画面
身の回りの景色は見えていない
駅に着くと人が流れる
電車内の空気が動き、湿気も同時に流れ込む
高架下には傘の花が咲いている
「あなたがモタモタしているから塾に間に合わないじゃない!」
満員電車の中で人目も憚らず大声で怒っている母親
しゅんとしているのはまだ幼い男の子
シルバーシートには若者が座り
お年寄りは目の前のつり革に掴まる。
座っている若者は液晶画面から目を離さないからお年寄りの存在には気づかない
この狭い車両の中だけでも、憂鬱のタネがあちこちに散らばっていた。
毎日続く雨にうんざりして、街に出たら少しは気晴らしになるかと出てきたが、逆に滅入っていた。
ヘッドホンで音楽を聴いている若者に、隣の人が音漏れがすると注意しているが、聞こえていないのか聞こえないふりをしているのか知らん顔をしている。
思わず若者の手を掴み、ヘッドホンを外した
ヘッドホンの中の大音量が車両内に流れ出す
何かがブチっとキレた
気がつくと電車を降りていた。
大音量で音楽を聞いていた若者は頬を腫らし、氷で冷やしていた。
駅員さんに若者の隣で注意していたサラリーマンが必死に説明している
ハッとなった。
話を聞いていない若者にカッとなり、その若者を殴っていた。
無意識に制御していたようだが
もし
怒りに任せて力任せに殴っていたらと思うと…
ゾッとした
駅員さんもサラリーマンから事情を聞いた事で、注意だけで解放してくれた。
若者とサラリーマンに頭を下げてその場を離れた
いったい何をしているのだ?
周りの所為にして、苛立っていたのは自分自身ではないか。
ビルの上から街並みを眺める
気持ちを落ち着かせる
みんなそれぞれの思いを抱えて生きている
辛いのは
浮かないのは
自分だけじゃない
外に出ると雨は止んでいた。
雨上がりの澄んだ空気を吸い込んだ
ビルの間から虹が出ていた
「よし!」
水たまりだが構わず足を前に出す。
ばしゃんと雨水が跳ねた
thank you
yamanote line rainy season sketch
2018.6.24