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​縁側にて〜十五夜〜

「やっぱりここからの景色が最高だ」

月を見に行こうと誘われた。
きっと海辺だろうと思っていたのに、しばらく歩いてコズミ博士の玄関前。

コズミ博士は二人が来る事を解っていたかのように笑顔で部屋に入れてくれた。

コズミ家のお手伝いのヤマダさんは、昔ながらの風習を大切にする人だった。

縁側にはススキとお団子が飾られている。

ジョーは縁側にあぐらをかくと、空を見上げる。

「今日は十五夜だからね、ここから月が見たかった」

まだ日中は暑いが、朝晩は涼しくなった。
どこからか聞こえる虫の声
優しい風がススキを揺らす。

「食料もある」
そう言うとジョーはお団子の山からひとつつまみ食いをする。

「まあ!せっかくヤマダさんがお供えして下さったのに!」

非難する口を塞がれた。
ジョーは口に入れたお団子をフランソワーズの口に移す。

唇を離すと
「共犯」とニヤリと笑う。

不意打ちの攻撃に真っ赤になる。
口にお団子が入っているから何も言えずじたばたしていると、お手伝いのヤマダさんがやって来た。

「あら、お団子…」
ジョーはフランソワーズを指差す。
お団子を飲み込んだフランソワーズは「ジョー!」と怒る。

ヤマダさんはにっこり笑う。
「コズミ博士が一緒に晩御飯食べましょうって、お二人が来られるのを解っていたからご用意してあるんですよ」

「いいんですか?じゃあお言葉に甘えて」
ヤマダさんに声を掛け、立とうとしたジョーをフランソワーズが押さえつける。

「何?」

「何じゃないでしょ?これじゃあ私がつまみ食いしたみたいじゃない!」

「わかった、わかった、ごめんなさい」
そう言いながらまたお団子を一口

「反省していないじゃない!」

「まて!喉に詰まるだろ!」

猛烈な勢いで肩を揺らされ焦るジョー。


空には丸い月
どこからか聞こえる虫の声
優しい風がススキを揺らし
バランス崩したお団子が供えられ
縁側で騒ぐ2人

「若いっていいのぉ」
その景色全てを満足そうに眺めているコズミ博士がそこにいた。

〜おしまい〜

 

 

 

 

2016.9.15

 


 

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