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Soul Cake

いつの頃からかこの時期、この国にもかぼちゃのランタンや、街には仮装した人々が溢れるようになった。


 

多国籍なこの空間では各国のハロウィンの過ごし方や

ハロウィンとはなんぞや?と話し始めるもの(誰かはあえて言わないでおくが)もいる。

 

この島国には「お盆」という死者を迎える行事があるではないか?

アルベルトはこの時期に日本にいる事を後悔した。

 

混雑した街にうんざりして帰宅してみたら、ジョーとフランソワーズがキッチンで仲良く何かを作っている。
 

「お帰りなさい」

フランソワーズが笑顔で出迎える。
 

「よかった、ちょうどケーキが焼けた所よ」
 

「ケーキって言ってもパンプキンパイだけどね」

後ろでジョーの声がする。

 

ほー、お前たちもかぼちゃ頭か。

 

「トリックオアトリートの由来のソウルケーキのつもりなんだけど」

フランソワーズがアルベルトにこっそり耳打ちする。
 

「あれか、成仏できない霊の為にクリスチャンにソウルケーキを託すと霊を天国に導く祈りを捧げてくれるって

ヨーロッパの…」
 

「今はそんな風習はないから、死者の供養って感じかしら。ほら、日本のおはぎとかぼた餅みたいな…」
 

「で、誰を供養するんだ?」
 

「あなたの大切なヒトに…ね」
 

フランソワーズがにっこり笑う。

 

「あいつは大丈夫だ、ちゃんと天国に行けている」
 

「そんなのわかっているわ。でもきっと食べたいと思うの」

 

「?」

 

「女の子はケーキには目がないから」

 

まるで今でも生きているような言い方にアルベルトは吹き出した。
 

「何がおかしいの?」
 

「いや、その言い方がな…なんでもない」
 

「その言い方が…何?」
 

あいつに似ていたなんて言えやしない。

 

「早く食べようよー!!」
 

ソウルケーキが何かとかハロウィンが何だとか関係なく

ただパンプキンケーキを食べたいだけのジョーにアルベルトは心で笑った。
 

顔には出さずに


 

2018.10.31

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