
好みのタイプ
夜中目が覚めた。
喉が渇いたので、水を飲みにキッチンへ向かう。
リビングでソファーに横になっているジェットがいた。
「テレビが砂嵐だよ」
「…お、ジョーか。どうした?」
「目が覚めたから…寝てたの?」
ジョーは話ながらテレビを消し、キッチンの冷蔵庫を開け、ミネラルウォーターのペットボトルを出し、ラッパ飲みしながらリビングに戻る。
左手には缶ビールを2本。
「ほい」
缶ビールをジェットに投げる。
「おぅ!!気が利いてるじゃねぇか、つまみは?」
「あたりめ」
袋を振る。
「「乾杯~!!」」
プルトップを開ける音と、缶を合わせる音。
「今回の来日の目的は?」
ジョーがビールを一口飲み、ジェットに問う。
「理由がなくちゃダメなのかよ、たまにはまともなメシが食べたくてよ」
「ちゃんと料理覚えないからさ」
「んなもん、覚えてられるかってーの!お前はいいよな、ダイジンもいるし、フランソワーズだっている。食事には困らねーだろ?」
「まあね、でも時々は作ってるよ」
「ほー」
関心なくジェットが呟く。
「ねぇ、ジェットってさ、どんな女の子がタイプなの?」
いきなり女子会のノリみたいなジョーにポカンと口を開ける。
「はぁ?」
「ニューヨークに行くたび連れている女の子に統一性を見出せないからさ」
「お前、そんな事考えてたのかよ‼︎何でもいいだろ?その都度俺のタイプだ‼︎」
「そうかなぁ…本当の好みのタイプは違うような気がするんだよな」
「おー!じゃあ教えてやろうじゃねーか!俺の好みのタイプは…」
ジェットはビールを飲み干すと
「気が利いて、気が強くて、心が綺麗で、思ったら一途、負けず嫌いで、お人好し、自分より他人優先…なんて女、そういないよな…」
「…それって…」
ジョーがジェットの顔に近づき、指を立て、ジェットに向ける。
「フランソワーズの事じゃない?」
「は?な~に言ってるんだ?お前、アイツに惚れてるからって美化しすぎじゃね~の?フランソワーズの訳ないだろ?」
ジェットは笑い飛ばしながら、ジョーの指を退かす。
「それならいいけど…そのフランソワーズに怒られるからそろそろ寝ようか」
「そうだな…おやすみ」
「おやすみ」
ジョーは自室に戻り、ベッドに潜り込む。
隣で眠っているフランソワーズのうなじにキスをする。
「誰にも…渡さない…」
〜おしまい〜
2015.7.2